2017年4月2日日曜日

豊かな人生を

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3ヶ月との長きにわたりコンクールについて書いてきましたが、ついにまとめの章になります。最後まで読んでくれるととても嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

 偶然にも子育てとバスティンメソードに巡り会った時期、それに生徒をコンクールへと挑戦させるようになった時期が同じだったことで、私の教育モットーである「人づくり」の基本ができました(こちら)。そして長らくピアノを通して子どもの教育に携わる中でコンクールが人づくりに大きな好影響を与えることに気がつきました。「ペダルは使い方一つで良薬にもなる」とピアノ演奏において言われているのと同じく、コンクールも考え方や使い方に充分な配慮が必要なことは確かだと思います。しかしそれでも私が子どもの教育にコンクールの活用をお勧めするのは、コンクールが人づくりにとても効果的だからです。もちろんとても良い意味においてです。

 では具体的にお話しましょう。まず大人の私が常々考えいるのは、子ども達のおかれる境遇です。今の子どもたちが活躍する社会は良くも悪くも競争社会です。それを避けることはとても難しいでしょう。一時期ゆとりを持った教育環境をという考え方が世間を賑わせましたが、今ではその揺り戻しとも言える競争社会が見直されてきていますね。そして更に、あまり良い言葉ではありませんが、格差という言葉も随分と耳にするようになりました。そのような社会で生きていくためには、逆境にもめげず挫折を経験してそれを乗り越える術と知恵を身につけさせたいものです。それには少々厳しい条件のもとで学ばせることが良いと思い、40年ピアノ教育を続けて来ました。以前にもお話したように、コンクールは家庭内で取り組めること、他の習い事より早く始められること、そして本気になれること、しかし命の危険性は無いことなどの素晴らしい好条件を満たしており、子どもを上手く導くための教育ツールにはもってこいと言えます。(こちらをご参照ください:,,)音や音楽に集中して判断することは、人の話を聞く、注意深く物事に取り組むなどその後の成長に大きく影響します。また音楽やリズムに合わせて歌う、身体を動かすなどの表現を学ぶことは心の開放を促します。そして多くの人の前で演奏を披露することは、自分の意見や考え、その他まとめあげた事を発表するなど、プレゼンの要素を養っているとも考えられます。ここで、昔から「三つ子の魂百まで」と言われるように、その子の本質は3歳までに形づくらると言う事を忘れないようにしましょう。そのために子どもができる事は、適切な時期を見計らって着々と養っていく事が必要だと考えています。その意味では、ピアノにはお勉強よりも随分と早期に始められると言うメリットがあります。お勉強を始める前の基礎作りと考えても良いとでしょう。その上でコンクールの使い方について私の考えをまとめてみたいと思います。

 私が考えるコンクールの目的は次のようです。子どもと親に分けて書いてみました。
【子ども  】
① 自分を高め、自分の限界に挑戦することの喜びと尊さを知る
     目標に向かって毎日コツコツと努力する姿勢を身につけ、自分を磨くことに労を惜しまない 。何事も前向きで一歩一歩自分の人生を切り開いていく力と精神力を養う。またどの位努力しないと公には認めて貰えないのかを体感する。  そして自分より努力している人が多勢いることを認め、謙虚な心を持って日々の努力を全うする。 
 ここで小2男の子の、ピティナの全国大会の結果発表のときの経験談をご紹介しましょう。お陰様で銅賞の発表で名前を呼ばれました。喜びと安堵感に浸っている時に、隣の女の子から「何時間練習したの?」と聞かれたそうです。そこで彼は「6時間」と答えると「私は8時間」と返答したそうです。そして彼女は銀賞で名前を呼ばれたのです。その一瞬の会話が彼の中に強く印象付けられ教訓となりました。頂点に登り詰めてきた方々が作る身の引き締まる環境を、身体で感じることが大切なのです。その後の彼は自らが頂点を目指す努力をするようになりました。

② 強い精神力と冷静な判断力を身につけ、自立への道へ歩む
   ピアノは人前で演奏するという宿命があります。本番の数分の演奏のために何百時間という時間をかけて練習します。そしてそれまでの集大成として1回だけの演奏に力を注ぎます。極度な緊張に耐え、自分の実力を出し切ることの苛酷な挑戦です。どんなアクシデントが起きても、その場で判断して対処しなければなりません。そのような体験は本番でしか出来ないのです。マインドコントロールを身につけるのは実に大変です。経験が物を言います。その経験量を増やすためにも幼い頃から「本番」を経験させた方が良いでしょう。加えて小さい子どもの吸収力というのは大人の想像を超えていくことが多いものです。大人が心配を感じるような思い切った挑戦や経験でも、驚くべき力を発揮して貴重な経験を吸収する逞しい子どもの姿を見るのも、実は珍しくはありません。そうやって得た経験はその後、学校でも社会でも大いに役立つでしょう。
 ここである生徒の例をお話します。中1の女の子が英語のスピーチコンテストに挑戦しました。母親の話によりますと発音が特別きれいというわけではなかったそうです。しかし間の取り方、表情のつけ方、強弱のコントラストなどピアノで学んだパフォーマンス力が自然な形で表され1位を頂けたそうです。きっとこの女の子は私の目の届かない場でも、自己表現の巧みな子に育っているんだと思います。ピアノはピアノのためだけに習うのではないと言う非常に良い例で、大変嬉しく思います。


【親・家族】
① 子どもの真の姿(性格)を見極め子育ての方向性を掴む
    コンクール本番までの練習過程では、目的意識が弱く練習しない、時間はかけているが集中した練習ではない、応用性がないため効果が上がらない、素直だが指示を待っているなどの問題点が見えてきます。そして粘り強いか、打たれ強いか、目標意識があるか、飽きっぽい、諦めが早い、依存している、負けん気が強くがまんが出来ない、プライドが高く失敗を認めない、失敗を人のせいにしてしまう、欲が無い、自信が無いなど子どもの性格が見えてきます。子どもを上手く導いて行くには、早くから子どもの長所や短所を知ることが大切だと思います。

② 子どもに対しての接し方や対処法を学ぶ
    性格は環境によって作られるものだと思います。自我が芽生えてくると自らの力で改善できます。しかしそれ以前は、親やその子に関わる周囲の者がより良い環境を与えて育成していくべきでしょう。子どもは日々成長しています。その成長と共に、親としてどのように接するべきかを常に考えて行動しなければなりません。子どもとの距離をどのくらい取り、リードしていくのが良いのか手探りの経験になります。親も、子どもをよく観察して冷静に対処するテクニックを身につけなくてはなりません。そのためには、親にもキャリアが必要です。子どもの成長と共に接し方や対処法は変わります。コンクールを上手く使って日々その方法を探るというのを私はいつもご両親に勧めています。こういった親の試行錯誤の経験は、子どもの受験時など、子どもにとって人生の一大事の際には大いに役立つと思います。

 以上これまで書いてきたように、コンクールは親にとっても子どもにとってもまさに修練の場です。多くの年配のお父さんお母さんならお分かりのように、子どもが親の導きに素直に応じてくれるのは反抗期までです。子育てに躓かず、上手に子どもを導くには反抗期までがタイムリミットだと考えないといけません。ですから集中して効率よく、身につけさせる事を徹底的に教え込まなければなりません。反抗期までに習得できれば、その後は自分の足で考え、判断して歩き出します。それが自立です。コンクール参加は究極の自立への準備なのだと私は考えています。このようにコンクールを使って親子で奮闘する経験を積んできた人は、小学校高学年頃になりますと「成功へのサイクル」を身につけている事にいずれ気づくでしょう。

          継続 ⇨ 努力 ⇨ 達成感 ⇨ 喜び ⇨ 自信 ⇨ 継続

 このサイクルはピアノだけでなく、勉強にもスポーツにも、もちろん遊びにも当てはまります。自らこの喜びや自信を求めて歩き続けます。このサイクルを身につけた人は、何事にも前向きに取り組むので、結果的に成績も優秀な生徒さんがとても多いです。豊かな人間性も兼ね備え成長します。既にその土台が作られているのです。
 例えコンクールで残念な結果になってしまったとしても、何の心配もいりません。このサイクルの継続と努力の所で、学ぶ方法や身体的および精神的成長のバランスが整なわなかっただけです。ですからもちろん、子どもを責めるようなことはありません。私の生徒さんでも残念ながら努力が結果に繋がらなかった生徒さんはたくさんいます。しかし、こういう時ほど親と指導者が手を取り合い、お子さんの成長に応じて小さなステップを一つずつ越えていく事を教えていこうと私は努力しています。大きなステップは小さなステップの積み重ね以外にありえないからです。そして達成感をご本人が感じられた時に、このサイクルが完成へと向かう大きな一歩に繋がります。その間は少々苦しい日々が続きますが、ここがお母さん、お父さんの力を一番必要とするところです。焦らずお子さんの性格を見て、いつでも楽しく練習ができるよう工夫をして「努力する楽しさ」を教えていけるように講師である私も心がけています。決して他のお子さんと比較しない事‼︎ これを始めてしまうと後戻りできない失敗へと繋がってしまいます。お父さんお母さんの焦りの気持ちはとてもよく理解できるのですが、そう言った焦りは子ども自身が肌身で直感的に感じているものです。子どものために自分のお子さんだけを見て付き合ってあげましょう。この時期が人づくりにとって一番大切なときです。人づくりの土台を作っているのですから…。私の教室ではそのような事にも常に気を配ってレッスンしています。これが冒頭に書きました、コンクールも考え方や使い方に充分な配慮が必要、と言うことです。
 そしてそのサイクルがいったん完成した後は自分の歩む道を真剣に考え、子ども自らが選択していきます。自分の人生に責任を持ち、楽しみながら歩み続ける術を習得しているのです。そして意欲的に社会貢献しています。それを習得出来たのはコンクールに果敢にチャレンジして自分と闘った結果です。このようにピアノという世界にとどまらず、人として豊かな人生を送るための土台づくりのお手伝いをすることが、私の本当の役目だと自負しています。

 これからコンクールに挑戦してみようと思った生徒の皆さんが、コンクールでの経験を上手く利用して豊かで満足できる人生を送れる大人へと成長できるように、精一杯応援していきたいと思っています。コンクールは成長を目的とした物から本格的なプロを目指すのを目的としたものまで様々です(参考にこちら)。子どもの成長に合ったものを選んで挑戦してみたら良いかと思います。そしてここまで熱心に読んでくれた多くの皆さんも、ぜひ失敗を恐れずにチャレンジしてみてはいかがでしょう。
(その他のコンクール関連の記事はこちらこちら
(コンクールの成績はこちら:生徒さんの進路はこちら




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